問題

東京海上の気候変動対策方針の問題点

「…石炭火力発電所および炭鉱開発(一般炭)については、新設および既設にかかわらず、新規の保険引受を行いません。」

現在、世界の12のライバル保険会社が、新規の石油・ガス開発事業の保険引受を制限する方針を取り入れていますが、東京海上にはこの様な方針は一切ありません。最新の気候科学の研究は、今後のあらゆる新規の化石燃料事業が1.5目標と調合しないと指摘しています。

「但し、…CCS/CCUSや混焼などの革新的な技術・手法を取り入れて進められる案件については、慎重に検討の上、対応を行う場合があります。」

東京海上はこの様な例外を用意することで、新規石炭事業の保険引受の余地を残しています。しかし、アンモニア混焼は発電事業に使用するとコストが高く、GHGの排出削減効果もほとんどないことが指摘されており、CCS・CCUSも同様に実現可能性が疑問視されています。一方、再生可能エネルギーはすでに確立されている技術です。

「…パリ協定における2℃目標の達成に向けた…気候変動対策に主体的に取り組むことで、脱炭素社会への移行推進に貢献していきます。」

2°Cではなく1.5°Cを目指すことは、世界的に合意されています。パリ協定では、「…地球温暖化を産業革命前のレベルと比較して、2℃未満、できれば摂氏1.5度に制限する…」と述べられており、COP26グラスゴー気候合意で1.5℃目標が確認されました。

東京海上は世界で最も問題視されている化石燃料事業の保険を引き受けている

世界の人々の生活や貴重な生態系を脅かす事業

ブラジル:オフショア石油開発

この調査で、東京海上がブラジルのオフショア石油開発事業の保険を引き受けているということがわかりました。この事業の周辺地域では、自然資源に依存した生活を営む現地住民の人々が生活への悪影響を訴えており、さらに周辺に広がるグレートアマゾンリーフの珊瑚礁やマングローブ林など、世界でも稀にみる貴重な生態系の破壊が懸念されています。東京海上は、この事業における重要な保険提供者の1社であり、賠償責任保険の40%、輸送保険の10%を引き受けていたことが明らかとなりました(詳細はこちらのレポートをご覧ください(英語))

アジア地域:韓国電力公社 (KEPCO) の石炭火力発電所開発

世界のライバル保険会社の多くが石炭事業から撤退する一方で、東京海上はKEPCOが関与する石炭火力発電事業の保険引受を行っていました。今回の調査で、KEPCOが関与する、アジア諸国での石炭火力発電事業に加担している保険会社が明らかとなり、東京海上はベトナムのギソン2、インドネシアのジャワ 9、10、ベトナムのブンアン2の保険引受を行ったことがわかりました。特にブンアン2では5億6,900万ドルの保険を引き受けており、2番目に多い額の保険を提供していることが判明しました(詳細はこちらのレポートをご覧ください(英語))

アラスカ州、アメリカ:北極圏野生生物保護区

先住民族であるグウィッチンの人々は、彼らの文化と生活の持続の両方に不可欠なポーキュパインカリブーの繁殖地であるこの地を、古来から神聖な大地として守ってきました。2021年、この地は石油・ガス採掘事業者への売却の危機さらされましたが、現在は一時的な停止状態にあります。しかし、この地の保護はまだ約束されておらず、東京海上はいまだにグウィッチンの人々の要請に応じていません。私たちは、東京海上が日本のSOMPOやその他の世界の13のライバル保険会社にならい、北極圏野生生物保護区、及び脆弱な北極全体における化石燃料事業に加担しないという方針を取り入れることを求めます。

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